特設コラム
「これがガチャの落とし穴だ!」

はじめまして。

ガチャ確率計算機 作者の 郁永(いくなが) です。

今回は ソシャゲのガチャで陥りがちな落とし穴について、解説していきます。

(一部の人にとっては耳にタコができそうなくらい聞き飽きた話だと思いますが、知らない人も多そうなので今回筆を執りました。)



当たり確率1%のガチャを100回引けば1回出る!のは本当か?

ガチャを回す上で、よく勘違いされがちなのが「出現率1%なら、100回やれば1回出るでしょ!」という考え方です。

1%を100回繰り返すのだから、1%×100回=100% だろう! という考え方だと思われますが、残念ながらその計算は間違っています。

期待値的に言えば「1%×100回=1回」で良いのですが、この単純計算では「必ず出る」ことは保証できないのです。

サイコロを6回投げたら、いつも決まって1~6の目が1回ずつ出るか?ということを考えれば、「出ないこともある」「偏って当然」ということは想像できるかと思います。

ガチャで当たりを引き当てるかどうかの確率を求めるには、当たりの確率ではなく、ハズレ(当たり以外)の確率の方に着目して計算します。

例えば、当たり確率1%のガチャを1回引いてハズレを引く確率は、100%(全体)-1%(当たり)=99%(ハズレ)ですね!

それでは、2回引いて どちらともハズレになる確率はどうなるでしょう?

100%-(1%×2)=98% ……ではありません

ハズレ(99%)を2回繰り返したと考え、99% × 99% = 98.01% と計算します。

ちなみに当たる確率はというと、

  • 1回目も2回目も当たりの場合
     1% × 1% = 0.01%
  • 1回目当たり、2回目ハズレの場合
     1% × 99% = 0.99%
  • 1回目ハズレ、2回目当たりの場合
     99% × 1% = 0.99%

の3パターンがあります。

表にまとめると、こんな感じですね。

1回目 合計
当たり ハズレ
2

当たり 0.01% 0.99% 1%
ハズレ 0.99% 98.01% 99%
合計 1% 99% 100%

2回ともハズレだった人の割合が98.01%、1回当てた人が0.99%+0.99%=1.98%、2回とも当てた人が0.01%。

合計すると ちゃんと100%になっていますね!

では、ここで本題です。当たり確率1%のガチャを100回引いて すべてハズレる確率は、どうやって求めれば良いでしょう。

……そうです、99%を100回掛けます!!!!

累乗を使って表すと、99%100 ですね。

早速計算してみましょう。

99%10036.603……%

……………………!?!?

そうなんです!! 実に約36.6%の人は、当たり確率1%のガチャを100回引いても、1回も当たりが出ません!

残りの約63.4%の人はちゃんと1回以上当たりが出ていて、中には5回も出ている幸運な人もいます。

その一方で、3人に1人以上はまだ1回も出ていないという不公平さ、理不尽さ……。

(C) PhotoAC

しかし、恐ろしいのはここからです!

このガチャを200回、300回……と引いていったら、「1回も出ない」確率はどこまで減るでしょうか。

下記の表にまとめてみました。

回数 1回も出ない確率
100回 36.6%
200回 13.4%
300回 4.9%
400回 1.8%
500回 0.65%

なんということでしょう! 500回引いても、0.65%の人は1回も当たりが出ていません……!!

0.65%といえば プレイヤー10万人規模のゲームなら650人くらいが当てはまります。決して少なくはない人数ですよね…?

もちろん、もっと回数を重ねれば「1回も出ない確率」は減っていきます。しかしその減るスピードは、どんどん遅くなっていきます。

600回 0.24%
700回 0.088%
800回 0.032%
900回 0.011%
1000回 0.0043%

何千回と繰り返せば0%に限りなく近付きますが、決して “0%” になることはありません。

2000回 0.0000002%
3000回 0.000000000008%
4000回 0.0000000000000003%

たとえ計算結果が0%だとしても、計算機が計算できないレベルで「1回も出ない」可能性は残っています。

「○%だから○○回引けば確実に出る!!」ということは無いのです。



「やめたいのに、やめられない」ガチャの魔力

ガチャを何回引いても目当てのものが出なかった場合、あなたならどうしますか?

  • 「次こそは!」と、引き続ける
  • 「もういいや」と、諦める

◆ 引き続ける方に質問です。

確かに、あと1回引けば目当てのものがポロッと出てくるかもしれませんね! しかし、何度引いても出ないこともありますよ…? それでも続けますか? 後悔しない自信は、ありますか?

◆ 諦める方に質問です。

なるほど、諦めも肝心ですよね! でも 今まであなたがガチャに費やしたお金……ちょっと勿体無くないですか? このままだと全部ドブに捨てるようなものです。取り返さなくていいんですか?

……意地悪な言い方してごめんなさい(笑) 実はこれ、有名な心理現象なんです。

その名も「コンコルド効果」

このまま続けたら損失が拡大することは明白なのに、今ここで止めてしまえば今まで投資したお金や時間、労力がすべて無駄になってしまう……と、やめるにやめられなくなってしまう状態のことを言います。

超音速旅客機コンコルドの商業的失敗がその名の由来です。採算割れは確実と分かっていながらも開発費回収のために投資を続けた結果、債務が数兆円まで膨れ上がり、最終的には倒産してしまいました。

この心理現象は、ガチャやパチンコなどのギャンブル系はもちろん、日常生活にも潜んでいるシロモノです。

例えば

  • 人気店の行列待ち。始めのうちは「全然列が進まない、他の店に行こうかな」と思うけど、次第に「もう30分も並んじゃったし…」と列を離れづらくなったり……
  • コレクション(カードとか雑誌とか)。ちょっと飽きちゃっていても、「せっかく集めたんだし…」と惰性でつい買ってしまったり……

では、「後にも先にも引けない、どうしよう」という状況に陥ってしまった時、どうすればいいでしょうか?

正解は、いさぎよく諦める(やめる)ことです。

仮に5万溶かして目当てのものが出なくとも、そこで止めておけば5万の損失で済みます。そのまま続けてしまえば、損失はほぼ間違いなく増え続けます。損失が増えれば、もっとやめられなくなります。

「今度こそ出るかもしれない」「ウン万も払ったんだから」と息巻いているうちは、この悪魔のような呪縛から逃れることはできません。

残念なことに、ガチャはあなたがこれまでいくら払ったかどうかなんて知りません。

たくさんガチャを引けば「次こそ出るかも」と思ってしまいがちですが、それは気のせいです。排出確率自体は、一番最初に引いたときと同じですからね。

失ってしまったお金は戻りません。これ以上失いたくなければ、とても悔しいですが 諦めるしかないのです。

この先もっと後悔するくらいなら、この辺でちょっと後悔しておきましょう!

余談:Twitterのガチャ報告のチェックには注意せよ!

TwitterではFGOやデレステなどのガチャの結果画面を報告するプレイヤーをよく見かけます。それらを人柱にガチャを回すか判断する人も多いと思いますが、そのときに注意したいのが結果が良かった時だけ報告する人が大勢いるという点です。

欲しいキャラや装備の名前でツイート検索して それを引き当てた人の喜びのツイートをたくさん見ていると「自分にも簡単に出せそう」と錯覚してしまいがちです。

良い結果ばかり出ているように見えますが、実際はそうでもありません。あれは、言わば幾多の屍の上に成り立っているシロモノです。

質問コーナー

この計算機を作ろうと思ったきっかけ
ピグライフという農園ゲームで「作物を収穫していると20%くらいでドロップするレア素材をクエストに必要な数集めるには、一体何回収穫しなくてはいけないのか?」知っておきたかったからです。
当時から、1回以上出現する確率(1回も出ない確率)を調べる計算機はありましたが、自分が知りたかったのは「何回やればXX個以上集まりそうか?」という複数回出現させるために必要な試行回数だったので、wikipediaの二項分布の記事 を参考に作りました。
作ってみると意外と出来が良く、ちょうどソシャゲのガチャが社会問題になり始めていたのもあり「ガチャ確率計算機」という名前でリリースしました。
ガチャで爆死、したことある?
私はソシャゲは基本無課金勢ですが、どうしても欲しいキャラがいた時に2万円使っても来てくれず、諦めたことがあります。
一応「10連ガチャにウン十回失敗したら必ずもらえる」という救済措置があったのですが、それ以上やる気にはなれませんでした。
ちなみにそのゲームは、その半年後くらいにサービス終了してしまいました。今思えば、2万で済んでよかったと思います。
こんな記事書いて、ソシャゲを潰したいのか?!
ソシャゲを支えているのは「出るまで回せば100%」「3000円払えば無料で10連回せる」「これまで課金した額で車が買えるが、車は歌わないし踊らない」「臓器があるうちは無課金」のような名言を連発する石油王みたいな人たちです。
そういう人はこの記事を読もうともしませんし、万が一読んだとしても「うっせーな!それでも俺は回し続けるぞ!」と言って元気に爆死します。そういうものなんです。彼らのおかげでサービスが存続しているのです。